この頃の私は老いのためか、懐古趣味が発症して、昔使っていたPCのハードディスクの記録を眺め直すようなことをしています。したらばですね、当時作っていた宅録のデータが出てくる出てくる・・・。自分の(姿写真ならばともかく)、演奏や声はさすがに恥ずやら甘酸っぱいやら。チューリップのことについては前のエントリーで紹介しましたが、当時(20年前)は彼らの楽曲の完コピに凝っていて、今更そんな作品を聴くと、まだまだな感じがします。
当時の私の技術ではヤマハのXG-WORKSで打ち込みのオケを作った後、HD-MTRで自分で弾ける楽器や歌を重ねていく方法でした。音声の修正なんてなかったらから雑。よく言えば生っぽい。ミックスがMTR任せ各パートのため、分離が悪くて全体の音圧が出ていない・・・、これは今更ながら直さなくては。MTRからPCにコピーしていた各トラックのWAVを一部見つけたので、DAW環境で20年前の演奏に現在の音を加えたり・・といったタイムマシーンのような作業を始めてみました。このところ、ギターの蔵出しを始めたので、弾き直しには丁度良い状況です。
今回はOVATION Patriotを紹介します。チューリップのファンの間では通称「オベーションの建国200年」。チューリップの建国200年モデルは、当時のファンクラブ会報によると、1983秋-84春の”I dream”ツアーの札幌厚生年金会館(1983/11/11)の舞台上で落として壊れ、客席に投げたら観衆により木端微塵になったのだそう。怖い・・・。 そんなことはともかく、私が物心ついて初めてオベーションのギターを見たのが彼らの建国200年モデルでした。
チューリップの当時の音源には、オベーション特有の(初期のピエゾPUのエレアコにありがちな)ジャラジャラした音が多くあり、サウンドの再現には重要な部分です。とは言え、サウンド的に、オベーションの他のモデルに比べて特徴があるものではないため、何でもよかったのです。この個体は1990年代半ばに、中古屋で偶然見つけたもので、めちゃくちゃ探した・・というものではないのですが、いずれオベーションを手に入れるなら、ナツメグ色のやつが欲しかったので、どうせならコレだ!と、心(財布)に鞭を打って入手しました。当時は、まだオベーションは人気があって安くなかったのです。今はどうなのでしょうか・・。エレアコだったら、もっと良いナチュラルな出音のものが、普通に多いのではないかと思います。
OVATION Patriotは米国建国200年記念の1976年に1776本が作られ、その内、エレアコ版と(PUの無い)アコギ版が存在します。当時のギター雑誌に見つけた輸入代理店の広告で、日本国内に販売される台数があったのですが、詳細を忘れてしまい残念ですが、日本に正規輸入されたPatriotの多くはアコギ版の方だったと記憶しています。チューリップのPatriotはエレアコ版。私の個体もエレアコで、正規輸入品ではない並行品のようです。ケースやボディ内に当時扱ったのであろう「ザ ハリウッド・ミュージックストア」なるお店のステッカーが貼ってあります。ハリウッド・ミュージックストアーと云うと、古い人には東京は湯島方面の思い出話が聞こえてきそうだし、そんな話を私も共有したいところなのですが、ひとまず、この個体に貼ってある店のステッカーの電話番号は日本の電話番号ではありません。
このモデルだけの特徴は、アジャカバーが木製でひし形のインレイ、ボディトップの記念のマークがなされている。専用のモデル名とボディ内のラベルに専用のシリアルナンバーが書かれている・・という点。それだけと言えばそれだけ。
イコライザーの類の無い、ボリュームだけの潔い仕様です。潔いだけに、当時のオベーションそのままのサウンドがアウトプットされます。70年代に憧れた夢のエレアコサウンド、ザラっとしてジャリっとした懐かし純度100%の音です。ボディーバックは当時のオベーションのスタンダードの茶色味の掛かったディープボール。ディープボールは立っても座っても少々弾きづらい。ネックは5プライ。その中央にあるウォルナット系のダークウッド(もしくは着色したメイプル)は、日焼けや乾燥で白化してしまっている(多分、それは私の保管のせい)。
ボディトップに貼られた建国200年記念を表すマーク。この個体は金色の部分が薄くなってしまっています。太鼓と星条旗、その下に★1776★1976★とあります。現在、"OVATION PATRIOT"とググると結構な数の写真がヒットします。だから、もの凄くアなモデルではないのです。詳細にはそちらをお調べくださいね。
OVATION Patriotと言えば、日本ではチューリップの財津和夫さんなのです。世界的な視点で考えると、このオベーションのナツメグ色はジョレンノンの1651風でもある。こいつを久しぶりにポロポロと弾いてみて、ワタシ的には、歳をとった今だから、前ノメリに弾いていてもアリかなと思うようになりました。ただ、そこではチューリップのことは語らず、さりげなく弾いたらいい。私は特にしばらくベースばかり弾いて長くて、弾き語りから離れている。フォークギターを持つなら、きちんと歌えないといけないなと反省するところです。まいったな。
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