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2024/08/14

AriaPRO2 AVB-SSB-016'1993(その2)

 このARIA PRO2(AP) AVB-SSB-016について、手元に来てから、あれこれ点検を行いました。リサイクルショップのサイトで手に入れたものなのですが、ものすごい綺麗なのですよ。恐らく長期間に弾かれなかった個体のようで、それに起因する問題はありながら機能的には概ね問題はないような気がする。最大の問題はネックなのですが、リリーフ量を考えれば適切な状態だったとは言えます。ただ。トラスロッドののり代の範囲では、ネックが動かなかった・・・というところです。それは、嫌じゃないですか・・・。押したり引っ張ったり(?!)して、ロッドの動きを確認。FENDER SRBの強靭なネックに比べるとこのARIA PRO2は少し不安になるところがありますが、何日間の努力で少し動いてきた。くれぐれも設計や作りが悪い訳ではない。30年以上近く放置されていたことを考えると材料的には安定しているネックなのだとは思います。

 概ね問題はないとしても、私が処置したいくつかの問題点の改修と、カスタマイズに関してBLOGネタ的に紹介します。


 1.ネックを構えると「ギシギシミシミシ」と軋み音がする問題。

 この個体をWEBショップから購入し、届いて持った瞬間から「なんじゃこりゃ」と思った問題です。ネックジョイントの辺りで軋み音がする。こんなギターは私は経験がないのです。このベースを構えるとネックが動き「ネックとネックポケットのポリ塗装同士がすれて音が鳴っている」訳です。この問題は2つの原因に分解できると考えました。①ネックポケットのポリ塗装(を削り落とし、鳴りの原発を排除する)。②ネックのジョイントが緩い(のだから強固にする)。①で原因を除いても②ネックが動いているなんてイヤなものですから両方とも処置します。

①ネックポケット内のポリ塗装除去

ポケット内の側壁に残っていた塗装を、600番のペーパーで削りました。場所は写真の壁面ですね。写真ではネックが付いてしますが、ネックポケット内の作業ですので、ネックを外して作業します。あて木を使って平面に擦ります。これで問題の軋み音は無くなりました。

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②ネックのジョイント

 このBLOGとしては過去にも扱ったテーマです。ボルトジョイントのボディ側のネジ穴がキツキツとなっていて、ネックと十分に接合できていない。もしくはメーカー製造時には問題がなかったものの、後にネックを外した、経年変化、増し締め(?!)などを経て弛んでいしまうのでは・・という問題です。例えばネックの無い状態で、ボディにねじ込んで締めきれる・・・という状況は、ネックを十分に支えていないように思うのです。現在の最新の楽器に関しては知りませんが、私の世代(80年~90年代)の精巧に作られたと評される国産のギターの類に多いような気がします。

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 このことについては、諸説あり、これが正しい・・・という訳ではありません。ボディ側のネジ穴を少し広げる(グラつかない程度・・タッピングネジが最後は締めきれない、最後にグルグル回る程度にしています)と、鳴りは良くも悪くも変ります。個体差はあるのですが、この処理をするとネック側の響きが顕著に変化します。ボディとネックの接合が一層強固となることは間違いなさそうです。

 今回のARIA PRO2もネジ穴も案の定でした。上の写真のように、ネックがなくてもボディでネジ溝がキツキツで、締めていてキツイ。ネックの接合が十分ではなくわずかに揺れていました。①の作業で既に軋み音は無くなっているのですが、ここはしっかり処置します。穴を拡げる方法は、似たような径のドリルでさらうなどやり方ありますが、このARIA PRO2はそれなりに希少な個体なので、棒ヤスリで少しづつ広げました。

 2.誘電ノイズなんとかならないのかの問題。

 FENDER SRBとも共通したことなのですが、スティーブベイリー氏のモデルは高音域の活き活きしたキャラクタ設定のようで、2バンドのトレブルを少し上げると、ジ~っというノイズが耳につきます。FENDER SRBの入手時に振りかえると、当初からのノイズの量で故障してしまったかのような誤解をし、中身をシールディングしている内にプリアンプが壊れ、その後、エライおもいをしました。今回、このARIA PRO2を弾いてみて判ったことは、私のFENDER SRBは故障していなかったのだ・・ということです。私の普段のアクティブ系のベースの多くはバルトリーニ族で、ノイズの強いTCTでも、ここまでではないため、私ような環境下にある向きには、スティーブベイリーモデルは耐えられないタイプのベースかもしれません。しかし、パリパリ、カリッカリな出音には魅かれるところもあります。ピッチが聴き取りやすい(つまり弾きやすい)、ハーモニックスが綺麗に響くなどのメリットがありフレットレス6弦ベースとしてはとても面白いものになっているような気がします。

 過去の話題ですがFENDER SRBについてPUの出力が小さかったこともあって、バルトリーニAGBD918-2のバッファーに通し、25kΩのボリュームポットを介してハンプバックの2バンドのプリに出力しました。結果、ノイズ対策と、パリパリ、カリッカリ感の演出に成功しました。このARIA PRO2はPUは普通の出力量があるように思います。オリジナルの同軸ポットはボリュームもトーンもB500kΩで受けている。AGBD918-2(+オリジナルプリ)を内蔵させるとして、このARIAPRO2をフェンダーのJBのスタックノブに変更したい私としては、CTSの同軸ポットで2軸2連の25kΩ+500KΩなんて、既製品にはなかなか無い・・。なので、ゆくゆくはよくよく考えて対策するとして、500kΩのボリュームを250kΩに変更して少々大人しめの設定にすることにしました。大手音楽機材通販ネットショップで調べると、CTSサイズではFENDERがスタックJBで使っているというA250kΩ+A500KΩと、ALL PARTSブランドでA500kΩ×2のものが手に入りそう。今回はFENDERのA250kΩ(VOLUME)+A500kΩ(TONE)を選択。同時に、ツマミもFENDER(レプリカ)に交換しました。ボリュームポットの250kΩへの変更は、とびぬけた個性は無くなった一方、使い易いものになったとも考えています。いずれにしてもオリジナルのプリアンプはクセが強くて気になる。スティーブベイリーらしいところなのかもしれませんが、どうだろう。穏やかな音で良かったのではないかとも思うのです。

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 どうでしょう。ツマミがFENDERのスタックとなり、一回り大きいものになって、かわいらしくなりました。FENDER SRBと並べた時に、ツマミの大きさの差が気になりましたので、同じような傾向の見た目としました。詳しい人にはFENDERとAriaPRO2の違いは判るのでしょうが、関心がない人には同じ(ちょっとした違いの)ベースに見えるのではないかと思います。

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 私はこのAriaPRO2について気に入ったか気に入っていないか、どうかというと「気に入り」側です。減点としてやはりオリジナルプリアンプに起因する(このベースの個性とも言える)ノイズです。ボリュームポットを500kΩから250kΩに換えた結果、多少の緩和は図れたのですが、ノイズはあり、ポットの関係で、ミッドが濃厚になった一方でハイが無くなってしまった。でも、この音はこれでありだと思います。オリジナルを知っている私としては本来のカリっとして、かつノイズの少ない方法を模索することになるでしょう。なので、このモデルの話題は今後も続きますね。

 AriaPRO2とFENDERを比較して、どちらが好きか・・と言いますと、私はFENDERの方です。ネックの厚さや塗装の感じなど、弾き味についてAriaPRO2は日本製の薄くてポリ塗装による硬質でサラッとした、私世代には慣れたそれで、悪くはないのですが、FENDERの方は一段高級が楽器に触れているような気がします。フレットレスという性格を鑑みると、私は、弾いて暖かく包まれ感のあるFENDERの方が有難いと感じます。この2つ、座位で演奏する場合に膝に乗るところの位置がPBとJBみたいに違っています。この点も慣れ不慣れ・・があるのかもしれません。一方、AriaPRO2のこのモデルからFENDERに持ち替える理由は思いつきません。当然、その逆も然りです。AriaPRO2とFENDERが同時に並んでいて、どちらも同じ条件で、どちらかを選ぶということがあれば、私はFENDERを選びます。

 AriaPRO2が手元に来て1ケ月程経過します。毎日毎晩ロッドをいじり油を差したりして弾いていますが、だんだん本来の状態に戻ってきているように感じます。無理な矯正をしないような調整には時間が掛かりますが、私も歳をとって、そういうことに楽しみを感じています。

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 最後に、紹介するのを忘れていました。キャビネット内のシールディングを行いました。最近の私はシールド用の塗料も使わなくはないのですが、今回は銅箔テープです。ホームセンターで入手したニトムズ製のものです。この銅箔テープを使う場合は、継貼り(?!)の場合、原則導通がとれていないと考え、重ね貼りを行い端っこを一点でもハンダで止めておく必要があります。銅入りのハンダを使うとやり易いです。私は、細い銅線を伝わせながらハンダで繋げ、最終的にはグランドさせています。上の写真はハンダ処理の前ですね。実は、このベースにこのシールドの処理は、あまり効果は発揮しませんでした。プリアンプの性格なのかもしれないな・・・と思います。

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