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2021/04/22

GIBSON SG standard'1983&1985

このブログで以前、2014年12月にGIBSON SG standardとして1982年製の個体を紹介しました。今回は1983年と1984年を紹介します。個人的にSGの王道のカタチは実はちょっと苦手なのですが、ノーリンの後半期にあったトグルスイッチが妙な場所にある、普通のSGを見慣れた人にはとてもカッコイイとはいえないようなサイドジャック型のSGは例外的にとても好きで、ワインレッド色だと特に好きで、好きすぎて似たようなものを3本所有しています。

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GIBSON SG standard'1983

1998年に入手した個体です。この個体については、以前の記事で紹介した1982年モデルでは、少し改造(PU交換)してしまったことを反省して、フルオリジナルで保管しています。当初から状態が良かったのですが、今でもそのままです。1982年と比較すると、大きな仕様の変化はないのですが、トグルスイッチのノブの色が黒色(前のオーナーが交換した可能性があります)であること、ボディ材がセンター継ぎの2ピース(82年は1ピース)となっていることくらいです。指板の材の質感は真っ黒なローズで良い感じです。PUはスーパーハムバッカーです。

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ところで、この時代のSGの変遷は複雑で、当時、日本ギブソンの賞味期限切れのカタログを眺めて夢に馳せていた私にとっては正直なところ訳が判らない。今、私ながらこの時代のSGを整理すると、1979年の”THE SG(スタンダードはウォルナット、デラックスはマホガニー)”に端を発した、妙な場所(弾いてみると”絶妙な場所”と思う)にあるトグルスイッチとサイドジャックのスタイルは、1980年のウォルナット版のスタンダード仕様にあったファイアーロゴ(だっけか)を切っ掛けに、指板をエボニーからローズに変え、ウォルナット材をマホガニーに乗り換え1981年にSGスタンダードという名前を陣取ったのです。グルーン本によるとTHE SGデラックスは1984年まで継続したらしい。この時期のデラックスの存在が混乱させます。現在のギブソンギターには私は明るくないけれども、今でもあるであろうSG62リイッシューの登場は1986年。今回のTHE SGスタイルのSGスタンダードは1983年にスモールブロックのポジションマークをレスポールのような逆台形に変え、1987年まで継続し終了。何故か1989年から再発、1990年にサイドジャックSGは完結します。

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この83年の個体は2月~3月に作られたもので、ポジションマークがまだスモールブロックです。この後にレスポール式の逆台形型に替わるのだろうと思います。ネックはマホの3ピース。ペグはゴトーのロトマチック。

GIBSON SG standard'1985

1985年というとジャスコビッツがノーリンを買収した年。この時期は私は学生で、国内ではバンドブームだし、ギブソンが何で元気がないのか実感できませんでした。学生風情にはギブソンは高嶺の花だった訳で、もともと、ギブソン自体が実感できる対象ではなかったのですが。あとね、フェンダーも。
この個体の入手年は2006~7年位でした。サイドジャックSGで逆台形インレイをもったものは、日本にはあまり入っていないのではないかと思います。なんとなくそんな気がします。特に83~85年は。私の興味はスモールブロックのタイプで、この個体にはピンときませんでした。しかし、お店で投げ売られていて気の毒だったこと、年代的にノーリンギブソン最末期(もしくはジャスコビッツ買収時点)の資料的な価値があるかもしれぬ考え入手したものです。正直なところ、現在でも、そんな資料的価値は感じられない・・。この個体のネックは82年、83年の3ピースとは異なり、1ピースに回帰しています。でも、この個体はいわゆるUSメイドの程よいイイ加減さが希薄で、特にこの時期のナッシュビル工場は日本製のギターみたいで楽器として何の問題もなし。日本製みたいとは言っても、塗装トップのラッカーの手触り感や全体的な風合いはギブソンならではの部分はあります。

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指板のローズは明るい色目で、ちょっとどうかな・・・という感じです。ポジションマークは1983年から採用されたレスポールタイプの逆台形型。

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PUはTIM SHOW PAF。クロームメッキです。艶やかなスーパーハムバッカーに比べると普通のハムバッカーの音に私は感じます。57クラシックよりもザラっとしています。このあたりの感じ方はアンプによって変わるところなのでしょう。最近の私は、ギターを弾く事はDTM作業の時ばかりです。オーディオインターフェースに直挿し、音色はアプリのアンプシミュレーターや諸々のプラグインで作り込みます。気持ちの良い音で演奏する・・・というよりも、聴き心地の良い音に後加工する方向に重点を置くようになりました。いかにも平均的なギブソンのハムバッカーの音がする、SHOW PAFはなかなか優れた存在です。

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ネックは1ピース。ペグはクルーソンスタイルのブッシュ式じゃないヤツです。

85年の個体には当時の保証書やカードがケース内に残っていました。
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マップギターが懐かしいですね。座って弾くと、太股に当たって痛かったりするのかしら。

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シリアルは1985年の267日目、ナッシュビル工場の26本目です。267日というと9月末位でしょうか。

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サイドジャックSGでした。久しぶりに倉庫から引っ張り出してきた訳ですけれども、とにかくSGはボディが薄くて弾きやすい。マホガニーのボディはレスポールや335と違って倍音感が整理されていて深みを感じる。特にDTMでは素顔のままで録音していても、編集加工後の様子が想像しやすい。トグルスイッチの位置は、うっかり触って動かしてしまうような場所にないのでとても安心できます。ギブソンの音はノーリン末期のモデルであっても、やはりギブソンなのだと改めて感じました。

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コメント

通りすがりの者です。私も89年製の妙な位置にトグルスイッチがあるSGを所有しておりましてこの時期のSGについてほぼほぼ情報がないので大変勉強になりました。台形インレイのSGはあまり日本に入っていないのでは?とのお考ですが、私が譲っていただいた知人も海外で入手したようです。1年以上前の投稿にコメントするのもなんですがありがとうございました!

投稿: | 2022/12/09 12:29

SG standardについてコメントありがとうございます。
私は世代的にロングネックのSGよりもショートネック、それからサイドジャックのSG standardが好みで、SGはそれだけを数本所有しています。
ノーリン期の妙な(?!)ギブソンには、道具としては悪くないモデルが多いように感じており、このSGもその中の一つです。
このタイプのSGに関心をもっている人がおられる・・ということに感激します。
89年式のマイクは時代的に基盤ピックアップでしょうか。ぜひ大事になさってください。

投稿: yasuha | 2022/12/22 18:56

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